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数日後の、夜。
私は、滝田愛佳の家を訪れていた。
ここ最近の調査で、今日父親が出張だと突き止めた。
しかも、ご丁寧に海外出張だ。
先ほど監視していたら、スーツケースを片手に出て行く姿を見たから、当分帰ってこないだろう。
私は、タクシーに娘へ手を振りながら乗りこむ父親を見て、笑った。
行ってらっしゃい、滝田先輩のお父様。
帰ってきたら、自分の操り人形のような娘の、悲惨な姿を見てね?
彼女が家へ戻ったのを見て、私は家へ近づいた。
さすが、お父さんがエリートなだけあるな。
趣味悪くて、私好みじゃないけど、豪邸の名に相応しいような家だ。
きっと、彼の家とは比べ物にならないんでしょうけど。
…行ったことないけど、そう考えて、私はやる気が出てきた。
犯罪は、いけないこと。
人を殺すのは、もっといけないこと。
それぐらい、いくら私でもわかっているわ。
だけど、許せないの。
彼のあの哀しげな表情を思い出す度、憎しみに駆られるの。
彼をあんな表情にした罪人を、許せないわ。
復讐と、恩返し。
彼が、私を守ってくれたことへの。
私は、月を見上げて笑った。
見ていて…ね?


