愛ニ狂ッタ人








『だ、大丈夫ですか……』





人目につかない、裏庭と呼ばれるような場所で、私は彼に問うた。





あのまま2人で下駄箱の前に立ちつくしていたら、誰かしら気がついてしまう。

私は自分でも驚くほど積極的に、彼の腕と真っ赤に染まった上履きを掴み、裏庭へと連れてきたのだ。






『…僕自身に被害はないから、大丈夫』

『上履きのことなら心配しないでください。
私の代え、サイズ合っていたら貸しますから』

『上履きの代えなんて、雪愛ちゃん、何で持っているんだ?』

『最近、上履きも毎日のように隠されるので。
隠されても平気なよう、代えを持ってくるようにしているんです』




お蔭で、最近の私の両親からもらうお小遣いは、殆ど上履きへとなくなっていく。

本当、ただでさえ経済的に豊かじゃないんだから、やめてほしいわよね。






『この液体、何ですか?
血じゃないみたいですけど…』

『恐らくペンキだね。
職員室の隣に、保管室があるだろ?
あそこは鍵がかけられていなくて、自由に出入り出来るんだ』

『そうなんですか……』





私は冷静に返答しながらも、先生たちに怒りを感じていた。

連絡網や鍵のかけられていない保管室など、防犯に対しての管理が甘いと思う。

だから、私や彼のように、被害に合ってしまう人が増えると言うのに。