鳴りやまない電話にも、溢れんばかりに放り込まれた脅迫の手紙にも、時間を問わない訪問にも耐えきれたのは、やっぱり彼のお蔭だろう。
彼の存在がなければ、きっと私はとっくに鬱状態になって自殺していたかもしれない。
彼の存在は、それほど私の中で大きくなっていたのだ。
勿論今こうして生きているのも、彼のお蔭だ。
園田愛恵の死の真相を秘密にし合う私たちは、正式に恋人となった。
その点では、園田愛恵に感謝しなくてはいけない。
まぁ、死なないで欲しかったとは微塵も思わないけどね。
彼女である私は女子からのストーカーのような被害にあったけど。
彼氏であるキミは、そんな被害なんてなかったと思う。
やっぱり女子も、彼のバックにあるご両親の地位と、お金と、彼自身の見た目と性格の良さのお蔭だと思う。
…そんな生まれ持った才能で、被害に合うか合わないか変わるなんて。
本当、この世の中は可笑しいと思うわ。
きっと私も彼と同じような、神様の芸術品のような見た目に両親の地位が良かったら、こんな目に合わなかったと思うわ。
まぁだからこそ、彼と私は巡り逢ったのだと思うけど。
安心していた。
生まれ持った才能で、被害に合うか合わないのか変わるのだから。
誰からも愛され、誰からも必要とされている彼が、被害に合うなんて思っていなかった。
だから驚いたのだ。
下駄箱の前で、無表情のまま佇む彼を見た時は。


