愛ニ狂ッタ人








「可哀想だねェ愛恵ちゃん。
ずっとずっと、大好きだったんでしょう?

愛恵ちゃんが泣いて帰る時、愛恵ちゃんが大好きなお兄さんの所行って、愛恵ちゃんについて聞いてみたんだ。

愛恵ちゃん、キミは可哀想な子なんだね。

両親はキミが幼い頃に離婚して、キミは社交的で友達の多いお母さんに引き取られた。
お姉さんと仲良かったけど、離婚をきっかけに、滅多に会えなくなってしまった。
たまにこっそり会っていたけど、やっぱり寂しかったよね。

そんな寂しい日々を過ごしていた愛恵ちゃんを救ったのが、近所に住むお兄さんだったんだね。

お兄さん、最初はキミが本当に不憫に思えて優しくしたんだって。
そうしたらキミがお兄さんに恋をしてしまって。
予想外だってお兄さん、驚いていたヨ?

お兄さんに彼女が出来ても、愛恵ちゃんは諦めずに毎日通って。
とうとう彼女が、お兄さんと愛恵ちゃんが浮気しているんじゃないかって疑って別れようって切り出したみたい。
…愛恵ちゃんが、お兄さんの大事な彼女を、奪ったんだネ。

お兄さんにとってキミは、近所に住む寂しがり屋の可哀想な妹的存在。
ずっとそれは変わらないはずだった。

愛恵ちゃん。
キミが本気で、お兄さんを愛すまでは―――」






ああ、愛って怖い。

簡単に人を狂わせてしまうのだから。

人の人生を、壊してしまうのだから。







「だって…大好きだったのよ…」

「お兄さんがキミに抱く愛と、キミがお兄さんに抱く愛は別物だった。
それを、真面目な優等生のキミは気がついていたはずだよね。
それなのに別れないなんて…。

よっぽど、お兄さんを愛していたんだねェ」






お兄さんも勿体ない人だ。

こんなにも愛してくれる人なんていないと思うのに。






『もうオレに付き纏わないでくれないか』






お兄さんが愛恵ちゃんをフッている場面の写真を拾い、僕は溜息をついた。