愛ニ狂ッタ人








「愛恵ちゃん。
僕ね、愛恵ちゃんが好きなんだ」





先ほど満月を見ながら考えた台本の台詞を、僕は噛まずに呟いて行く。

我ながら、なかなかの演技力だ。





「愛恵ちゃんの言う通りだよ。
皆ね、本当の僕を見てくれないんだ。

愛恵ちゃんは違うよね。
本当の僕の姿を知っている。
僕が誰にでも愛想笑いを振りまくことを、ね。

僕に夢中にならない愛恵ちゃんのこと、前から気になっていたんだ。
僕へと堕ちない愛恵ちゃんがね…。

愛恵…僕の、いや…俺のモノにならない?」






優しく頬にキスをすると、園田愛恵はあっけなく真っ赤になった。

…扱いやすい子ダネ。






「愛恵のことは、絶対に俺が守るよ。
俺と一緒になると、将来も楽だよ。

一生不自由ない生活をしてみない?
俺とずっとずっと…一緒にいない?

愛恵のこと、俺が一生守ってみせるし、愛してみせるよ」





一応断っておくけど、これは演技だから。

僕がコイツになんて惚れるわけないじゃん。

僕が本当に愛し、守るべき存在は、雪愛だけなんだから。