私が黙ってしまったのを見て、彼女は1人でペラペラと饒舌に話し始めた。







「あの目、何を考えているかわからないわ。

性格は良いけど、アレは多分計画ね。
勝手に寄ってくる女子たちを見て、自分はかっこいいとか自惚れているのよ。
多分小さい頃からそうだったんじゃないの?

それに彼の家、あんまり良い噂聞かないのよね。

あの家、元々は彼のお母さんの実家みたいで、お父さんは婿養子らしいのよ。
実質的権力者はお母さんの方で、お父さんは古くから続く名家の重さに耐えきれないで引きこもりに近い生活を送っているみたいで。

きっと日に日に病んでいくお父さんを、彼はずっと見てきたのよ。
だからきっと彼の目も、心の底から笑ってないような、気味悪い目をしているのよ。

その上彼ってこの学校でVIP待遇じゃない?
お母さんも権力者として名高い人物みたいで。
きっと親の力で、周りにいつも人がいたと思うのよ。

心の中では、自分に群がる女子や男子、先生たちを見て笑っているのよ。
自分の本当の力だと知らないでね。

…本当、彼を見ていると哀れで仕方ないわ」






ふう、と溜息をつく彼女。





私は心の中で、もうすぐ怒りのマグマが溢れ出しそうな、黒い感情が渦巻いていた。

例えようのない怒りが、今にも噴火してしまいそう。

少しでも気を抜いたら、私はこの教室を滅茶苦茶にしてしまう。

そんな予感がした。






…許セナイ…。

何デ彼ヲ馬鹿ニスルノ…。

ドウシテ何モ無イ、アンタニ、馬鹿ニサレナイト、イケナイノ。





…堕トス。

彼女ヲ、堕トス。




モウ二度ト這イ上ガレナイ、

黒キ黒キ、





地獄ノ底ヘト…………。