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あの女…名前は何といったか?
…あぁ、そうだ。
私を囲み、彼への愛がそうでもなかった女たちよりも許せなかった存在だから、忘れるようにしたんだ。
最初は敵でも味方でもない、ごく普通の存在だったのに。
あの一言が、私の愛を怒らせたんだ。
あれは、ある日の放課後のことだった。
彼と私が、まだ付き合う以前のこと。
その日日直だった私は、教室で1人日誌を書いていたんだ。
彼はどこかの運動部の練習試合の助っ人に行っているみたいだった。
彼の彼女―――今は候補だけど、いずれ本物になる―――の私が応援に行かないのは駄目だから。
私は急いで日誌を書いていた。
「あれ?
雪愛ちゃん、まだ残っていたの?」
彼女の納豆のように粘っている声―――当時はそう思わなかったけど、今は凄く思う―――が聞こえ、私は顔を上げた。
彼女は、クラス委員とかで、同じクラスの女子は全員名前のちゃん付けで呼んでいた。
仲良いとか悪いとか関係なく、私もクラスメイトなので、雪愛ちゃんと呼ばれていた。
当時は、彼女を羨ましいと思っていた。
彼と同じく人望もあって、成績も優秀で。
真面目な優等生キャラとして、先生からの評判も良かった。
だから、
上手く…堕とせたんだけどネ……。


