愛ニ狂ッタ人








再び意識を彼から、授業へ戻す。

本当は戻りたくない。

彼の傍にいたい。

先生の声なんて聞かないで、彼の言葉を聞いていたい。




だけど先生がこちらを向いてしまったから。

仕方なく、泣く泣く私は戻ってきた。





―――そういえば。

先ほど、彼が好きになった瞬間を思い出していたけど。

同時に、あの抹消したい嫌な記憶まで思い出してしまった。






あの女、本当に許せなかった。






最初は、何とも思っていなかったのに。

彼を好きにならない、唯一と言っても良いほど珍しい女子だったから。

私の敵ではなかったから、良い人だとさえ思っていたのに。





好きじゃなかったから。

だからあの女は、彼を否定したんだ。

誰からも愛され、誰よりも素敵な、私の愛すべき存在を。





あの女を思い出してなのかわからないけど。

手元でシャー芯がボギッと酷い音をたてて、折れた。