男子は用事だけ済ませると、自分の席に戻った。
元々、そんな親しい間柄でもない。
僕に近づく男は、雪愛が許さないからね。
女だけでなく男も許さないなんて、雪愛って本当に嫉妬深いよね。
まぁ、そこが良いと思うんだけどね。
その後も、クラスメイトが次々に入ってくる。
だけど誰1人、僕に近づかない。
…別に構わない。
雪愛だけいれば、良いのだから。
でも、可笑しいな。
雪愛は教室に来るの、早い方だったのに。
僕が来なくなってから、来る時間が遅くなったのか?
勝手に解釈し、僕は再び本の世界へと向かった。
読んでいると、担任が入ってきて、ホームルームが始まった。
雪愛の席は、空席のまま。
誰1人気にせず、先生の話を聞いている。
先生もいつも通り、出席を取っている。
雪愛がいないことを見て、出席簿に記入している。
どういうこと、だ?
雪愛の存在が、消されているように見えるのは。