愛ニ狂ッタ人










真っ二つに裂かれたケイタイは、無様に落下した。

それを拾い上げ、稲生はごみ箱へ投入した。

…確かにアレじゃ、使えない。

だけど私は、すぐさまごみ箱に両手を突っ込んだ。





捨てられた使えないケイタイ。

でも私は、捨てることは出来なかった。

使えないものは、ごみとなるだけだから、取っておいても仕方ない。

だけど、私は捨てることなど出来なかった。





チリンッ……






鈴のついた、彼とお揃いのペアストラップ。

ハートが割れてペアになるやつじゃない。

右翼と左翼―――翼のペアストラップだ。





『相手が困っていたら、どこへでもこの翼で飛んで行けるように』




どこかのファンタジー小説か何かのような、願いが込められている。




私と彼は、一心同体。

離れることなんて、許さない。

許されない。




ケイタイは使えなくなってしまっても。

この翼のペアストラップだけは、捨てることは出来ない。




例え私と彼が別れてしまったとしても。

この翼で、繋がっていたいから。