愛ニ狂ッタ人












ガチャンッ!








目の前で、金属音がした。

私はそこで、自分が疑いもせず両手を出したことを、後悔した。







私の手には、

黒く光る、手錠があった。







「何するの!?放して!」

「放すわけないだろ?
俺はユキちゃんが好きなんだからな」

「私はアンタのことなんて、好きでもなんでもないわ!」

「だから、好きにさせてやるよ…ユキちゃん?」






私のポケットに仕舞って置いたケイタイを、稲生は取り出した。

彼とお揃いのペアストラップをつまみ、ぷらぷら揺らした。





「アイツのことなんて、忘れさせてやるよ……」

「やめっ……!」




私の叫びも空しく。





稲生は、

私の二つ折りのケイタイを、逆パカした。