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次の日になってしまった。
起きて早々、ケイタイを見たけど。
彼からのメールは、来ていなかった。
私はケイタイを強く握りしめ、家を出た。
Tシャツに短パンと言う、楽な格好で。
お洒落する気なんて、全くなかった。
私は稲生のことなんて、少しも愛していないのだから。
「ユキちゃん!」
「…おはようございます」
「じゃ、行こうか」
「どこにですか?」
「良い所だよ」
待ち合わせ場所である、学校前にすでにいた稲生は、私の手を引いて歩きだす。
良い所って、どこだろう?
何度も聞いたけど、稲生は教えてくれなかった。
右手は稲生と繋がっているけど。
左手は、返信の来ないケイタイを握りしめていた。
私、彼に釣り合わないの?
彼の傍にいちゃ、イケナイ存在なの?
彼を縛ってしまうの?
そんな不安ばかり、私を支配していた。


