愛ニ狂ッタ人









☆☆☆






次の日になってしまった。

起きて早々、ケイタイを見たけど。

彼からのメールは、来ていなかった。




私はケイタイを強く握りしめ、家を出た。

Tシャツに短パンと言う、楽な格好で。

お洒落する気なんて、全くなかった。

私は稲生のことなんて、少しも愛していないのだから。






「ユキちゃん!」

「…おはようございます」

「じゃ、行こうか」

「どこにですか?」

「良い所だよ」






待ち合わせ場所である、学校前にすでにいた稲生は、私の手を引いて歩きだす。

良い所って、どこだろう?

何度も聞いたけど、稲生は教えてくれなかった。





右手は稲生と繋がっているけど。

左手は、返信の来ないケイタイを握りしめていた。





私、彼に釣り合わないの?

彼の傍にいちゃ、イケナイ存在なの?

彼を縛ってしまうの?





そんな不安ばかり、私を支配していた。