彼のための殺人なら、躊躇わなくなった。

しつこく彼へ付きまとう女は、徹底的にに排除した。

中には殺さず、拷問だけやり、彼へ二度と近づかないよう忠告した。





彼は何も言っていなかったけど、きっと彼も園田愛恵以降も殺している。

それなのに私や彼が、警察の目を気にしないで生きていけるのは、彼のお母さんのお蔭だろう。





彼の家庭事情を知って数日後。

私は再び、彼と一緒にいるとき、彼のお母さんに出会った。

彼は私を、彼女だと紹介した。





彼のお母さんは、私を歓迎してくれた。

私も、彼のお母さんがお父さんへ注ぐ愛情を、素晴らしいと言ったから。

「この子に良い彼女だわ」って喜んでくれた。





おばさんはとても優しい人で。

私や彼が、相手を守るために罪を犯したら、警察に言って揉み消してくれた。

彼が言っていたんだけど、おばさんも昔、おじさんの浮気相手を殺したんだって。

だから相手を守りたい気持ちは大いにわかるって、共感し、事件を揉み消すことをしてくれた。

本当に、良いお母さんだと思う。





私の両親―――義理だけど―――は、私になんて興味ないから。

頻繁に私たちの周りで誰かが死のうが、気にしていなかった。

その一連の事件の犯人が私と彼だと、どうやら気がついていないようで。




良い大人に囲まれたと思う。




それか、もしかしたら。

異常を正常だと思う私と彼を作り上げた、贖罪をしているのかもしれない。