何故、母は父を監禁したか。
理由は簡単。
母の愛が重く、耐えきれなかった父が、浮気をしたから。
その浮気がバレて、母の愛が暴走したから。
父も、馬鹿だと思う。
何故母の愛を知りながら、浮気なんてするんだ。
ただでさえ重い愛を父へ送り続ける母が、浮気なんて最低の行為をしたら、どうなるかわかっていたはずだ。
父も、気がついていたはずだ。
母の愛が、普通でないと。
それでも僕は、母は素晴らしいと思う。
監禁は究極の愛の果てだと思えるし、監禁されて本当に精神を病んだ父を、一生世話し、他の女に会わせないよう、守り抜くのだと決めているのだから。
僕ももし雪愛が浮気なんてしたら、母と同じ道を辿るだろう。
だからといって、母のことは尊敬しない。
むしろ、殺したいほど憎んでいる。
尊敬し、素晴らしいと思うのは、母の父への愛だけ。
僕が何故、母を憎むのか。
その理由は、イマイチ自分でもわかっていない。
だけど、これだけは確信している。
僕が生涯愛し抜き、守り抜くのも、雪愛だけだから。
雪愛以外の人間なんて、尊敬もしないし素晴らしいとも思わないし、愛しているなんて呟けない。
だから、だ。
雪愛以外の人間を、僕は理由もなく、殺したいほど憎むのだ。


