愛ニ狂ッタ人








綺麗に書かれた、母への絶賛の言葉。

現実は、綺麗じゃない。

むしろ、狂って、汚れていた。







父が母に監禁されたと知っているのは、僕とメイドだけ。

メイドは秘密を守らなければ、クビにすると言い渡されていた。

メイドは全員、涙ながらに、秘密を守るからクビにしないでくれと頼んでいた。






僕はその時、ようやく知った。

何故母が、メイド採用試験の時、黙ってそれぞれのメイド志願者の過去を調べていたのか。





母は、結婚当初から、決めていたのだ。

いずれ、父を監禁すると。

その秘密を守る、忠実なメイドが欲しいと。




家にいるメイドは、全員過去に何かしら抱えている。

刑務所に入っただとか、借金まみれだとか。

そういう人たちに、母は救いの手を差し伸べていた。




これだけ見れば、美談。

母はマスコミが信じるような、良き妻で良き女だ。




だけど、現実は違う。

1度秘密に踏み込んでしまったメイドたちを、一生死ぬまで家に縛り付けるために。

過去をとことん追求し、ワケアリメイドを集めて。

自分の元から決して離れないし裏切らない、秘密を守る人を探し求めていたのだ。