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僕の家は、異常だった。
周りから見れば。
だけど、人間とは不思議なもので。
例えそんな異常空間にいても、そこに長年住んでしまえば、日常へ変化するのだから。
だから僕は、外の世界を知るまで、ソレが異常なのだと気が付けなかった。
僕にとって、皆が思う異常は、日常だったのだから。
僕の家は、先祖代々続く、名家。
その名を世界へ轟かせている巨大財閥の裏に、僕の家があると言っても過言ではないぐらい。
だから幼い頃から、家にメイドはいたし、どこへ行くにも送り迎えが必要だった。
僕はいずれ、この家を継ぐのだから。
そんな僕が事故や誘拐にでも遭遇したら、大変だから。
僕は、この家の大事な存在であり、
同時に、操り人形でもあった。
僕の意思なんて、存在しなかった。
僕の道を決めるのは、両親だった。


