お父様。
僕が心の奥底で静かに憎む人だ。
決して殺そうとは思わない。
消えてくれとは思うけど。
願わくば、
お母様と共に。
本望だろう、お父様も。
この世で1番“アイシテイル”、お母様と一緒に消えることが出来るのだから。
お母様も、この世で1番“愛している”、お父様と消えることが出来るんだ。
例え、その愛の重さが違ったとしても。
あの2人はきっと、死ぬまで永遠に、一緒だ。
「そ、そうです…」
「お父様には、お母様がいない時に会うな。
そう、お母様に言われていなかったの?」
「そうです…。
ですが、幹太様宛に、お電話が来て…」
「取り合わないで。
世間的には、お父様がどうなっているのか、知っているでしょう?」
「も、申し訳ありませんでした!」
深く頭を下げ、今にも泣きそうな声で謝るメイド。
僕は静かに首を振り、自分より遥かに年上のメイドの頭を撫でた。
「気にしないでください。
僕から、お父様には言っておきますから。
これからは、お母様に言われたこと、必ず守ってくださいね」
「かしこまりました。
ありがとうございます、ぼっちゃま」
薄暗い絆。
黒い秘密があるからこそ、成り立つ絆。
僕とメイドの関係は、それだと深く思う。


