僕は誰にも―――








「愛されたことがなかった……」








だから、だ。

雪愛を、こんなに、愛してしまうのは。

間違った方法だと知りながらも、離れることが出来ないのは。







「……んっ?」

「あ、雪愛ちゃん…起こしちゃった?」





雪愛の真っ直ぐな、僕だけを見つめる、双眸を見るだけで。

僕の心は、海や台風よりも荒れ狂う。

自分で自分が、抑えられなくなってしまうんだ。






「……きゃっ…」

「ごめん雪愛ちゃん。
このままで…いさせて…」





僕は彼女を、思い切り抱きしめた。






やめて。

僕を愛さないなんて、やめて。

僕を“独り”になんてしないで。

僕を、愛してよ。






狂おしいほど、

愛させてよ―――……。