「千代、必ずまた迎えに来る!・・・いったん引き揚げるぞ!」
時光はそう言うと軍を連れて帰っていった。
形勢が不利なことに気づいていたのだろう。
私は、立っていられなくなってその場に座り込んだ。
「千菜・・・?どうした」
鬼羅が私の側に来て、心配そうに私を覗き込む。
肩に触れた手を、私は振り払った。
「触らないで・・・、私に、優しくしないで」
忘れてたわけじゃない。
ずっと、それで悩んできたんだから。
「どうした?」
「千菜ちゃん?」
琉鬼くんも側に戻ってくる。
琉鬼くんの姿を確認するとその左手には刀で切られた傷ができていた。
それを見て、さらに血の気が引いていく。


