「貴様・・・、なぜ!封印が解けたというのか!?」

「よくも、封印してくれたな、時光。見ないうちにずいぶん老け込んだではないか」




鬼羅の姿を見て、驚きの声を上げる時光は、鬼羅の封印が解けたことを今知ったらしい。
あの場所には人は寄り付かなかったんだろう。




「俺は千代を探しに来たのだ。この森に逃げ込んだようなのでな」

「千代などいない。貴様のせいで、千代は死んだのだろう。その恨みも晴らさせてもらわねばな」

「なにを言う。俺は見たのだ。この目で、この手で触れたのだ。千代は生きていたのだ!」

「戯言を」

「貴様などには渡さぬ。今度こそ、我が手中に・・・!探せ!千代を探すのだ!」




時光は、鬼羅の言葉なんて耳に届かない。
家臣たちに命令を下すと武装した男たちが一斉に動き出した。




「この森で好き勝手することは許さん」

「黙れ化け物め。千代も、貴様などに出会わなければ不幸にはならなかったのだ」




時光は鬼羅を見下したようにそう言うと、苛立ったように目を血走らせ辺りを見渡している。