トボトボと小屋まで帰ってきた。
足取りが重い。
なんだか今は、鬼羅に会いたくない。
千代―――
鬼羅が呼ぶ声が、消えない。
あんな風に、愛しい人を呼ぶ声で・・・。
私には冷たい声しかかけないのに。
“貴様”としか呼ばないのに。
・・・なに考えてるんだろう私。
そんなの、当然だよ。
私は、鬼羅に会ってまだ二日目。
千代って人は、ずっと前から鬼羅の側にいて、今も心の中にいる。
そんな人と、私なんて比べようがない。
届くはずないのに。
届きたいのかな、私。
寂しいんだよね。
私を私として見てくれる人がいない。
私として必要としてくれる人は、ここにはいないんだもん。


