「き、鬼羅・・・」



私がおずおずと声をかけると、河原で座り込んで待っていてくれている鬼羅が振り向いた。




「あの、着物の着方がわからなくて・・・」

「はあ?」

「ご、ごめん・・・」



私の言葉に、眉間にしわを寄せながらもよってきてくれた鬼羅は、渋々と言った形で私の着物を整えてくれる。
鬼羅の身体が時々近くなって、胸がドキドキと高鳴った。



「貴様、着物も着れんのか」

「だって、着たことないんだもん」

「着たことないだと?貴様はいったい何者なのだ」



何者・・・。
何者なんだろう。




「・・・もしかしたら、鬼羅なんかより私の方が化け物かもね」



ポツリと吐き出された言葉。
ずっと思ってきた。

人を不幸にしかしない私は、化け物なんじゃないかって。