残された私は、訳が分からず待ちぼうけ。
鬼羅がどこに行ったのかもわからず、ただそこに座って待つことにした。


少しだけ、話せた。
なんだか、心が温かくなる。

たったそれだけのことなのに。




鬼羅が戻ってきたのは、それ程時間のたっていない頃。
手には、綺麗な布を持って。




「これに、着替えろ」

「え・・・?」



鬼羅に渡されたのは、布ではなく着物だった。
鮮やかな薄桃色の着物。
小さな柄が袖のところにちりばめられていて可愛い。




「ありがとう」




これを取りに行ってくれてたんだ。
私はそれを受け取るとそそくさと木の陰に入る。
濡れた制服を脱ぎ捨てて、着物に袖を通した。



「えと・・・あれ・・・?」



着物なんて着たことない私は、手こずってしまう。
それに、私がよく知ってる着物とは少し違うみたい。