「川にでも落ちたか」

「え、あ・・・ううん。川で水浴びしてた」

「水浴び?着物のままでか」





鬼羅はそこでようやく私を見る。
私もつられて自分の姿を見下ろすと、びっしょりと濡れて身体に張り付いた制服。





「お前の着物は、妙だな」

「みょ、妙って・・・まぁ、そりゃあここの人たちからしたら妙かもね」

「そんなに濡れてどうするつもりだ」

「どうって・・・。暑いしかわくかなーと・・・」

「お前は阿呆か」

「あほ・・・ちょっと、酷くない!?」




珍しく話しかけてくれたと思ったら阿呆って!
ほんと、失礼な奴!
確かに、どう考えても乾きそうにないなと後悔してるけど。




「ちょっと待っていろ」

「え?」




鬼羅は一言そういうと軽い身のこなしで飛び立っていく。
ああいうのを見ると、確かに人間じゃないのかなって思う。