「・・・え?」


「妊娠、されていますね」





最近、体調がすぐれなくて。
気分がめいっているからそのせいだと思っていた。
病院に行ったら、婦人科に回されて。


言われるままに検査をしたらそう告げられた。




「・・・妊娠」




そう呟くと、一気に現実味が増して、涙が溢れた。
ああ。

ああ。



鬼羅。
鬼羅。




「大丈夫ですか?」





心配してくれる医者に何度も頷いて。
幸せに、心が満ちていく。




失くしていなかった。
全て失くしたと、思っていたのに。