鬼羅は、千代さんを愛してた。
千代さんがいなくなった今も。
ずっと。
千代さんだけを。


鬼羅は、私よりも千代さんを求めているんでしょう?




サーッと、気分が沈み込むように落ちていく。
もう、心の中にも千代さんの声は聞こえない。



千代さんは。




千代さんは、これで本当によかったの?





「千菜、どうした」

「・・・ううん。ごめん。なんでもないよ」

「お前を巻き込んで、すまなかった」




ああそうか。
私のせいか。

私のせいで、鬼羅は千代さんを諦めて。
私にこの体を返してくれたのか。



鬼羅は、優しいから。