「千代は、もういない」




鬼羅の小屋に戻り、そう聞かされた。
私は何と答えたらいいのだろう。

私は・・・・・。




「お前がそんな顔、しなくていい」




鬼羅は、そう言って笑った。
普段あまり笑わない鬼羅が。


どうして。
鬼羅は千代さんが好きで。


あんなにも嬉しそうだった。


私の中に千代さんを見て、あんなにも愛おしそうに。




「最期に、話ができてよかった。千代とは、突然別れてしまったから」




私が、戻ってきてよかったの?
なんで、あの時・・・。


私の名を呼んだの?





「千菜?さっきから黙ってどうした」




覗き込む鬼羅の顔を見れない。
私はさらに顔を俯かせる。