「千代・・・」




鬼羅は、迷いなく千代さんを呼んだ。
なんで気づくの・・・?

なんで、一言名前を呼んだだけで私じゃなくて千代さんだって気づくの?




見たくない。




「鬼羅・・・っ」

「・・・言っただろう。もう、千菜の身体を使うのは・・・」

「どうして?鬼羅は、もう私に会いたくないというのですか?」

「そんなわけないだろう。俺は・・・、俺がどれほどお前に触れたいと思っていたか。どれほど、お前を求めていたか・・・っ!」




熱い視線が私を射抜く。
いいえ、鬼羅が見ているのは私じゃない。


愛おしいものを見るような目で。
愛してやまないというような目で。

見るのは、私なんかじゃない。




視界がフィルターがかかるみたいに霞んでいく。





「私も同じ気持ちです。鬼羅とこうして触れ合える日をずっとずっと求めていたのですから」

「千代・・・」




相思相愛。
私の入る余地もなければ、私なんか邪魔者だ。