「そんで、今度は何の研究ー?」

 幸い、爆発は火災には至らなかったようで、スプリンクラー等の作動はなかった。


 となれば、そもそもの原因が知りたくなる。
 先ほどの遥香の言動から察するに、この雛人形が実験対象のようだけど。


 小さな調度品に囲まれ、鎮座する女雛と男雛。
 ……その周囲に張り巡らしてある、ロープが気になるけど。


 注連縄か?


 怪訝な表情で見つめ返すと、遥香は頭を掻きながら言葉を探す。


「んー、コレ、実は呪いの人形なのよね」

「え」

 こともなげに吐かれたセリフに身構える。


 腐っても鯛。
 その手の話には精通していても、あまり体験したくはないものだ。


 特に、人形はタチが悪い。
 読んで字のごとく、人の形を模してるから、力が宿りやすいと考えられている。


 そんなことは彼女だって知ってるはずなのに、ちょっと困ったくらいの顔で腕を組む。

「それも、かなり古くて強敵らしいのよね。霊術士も条件悪すぎて、太刀打ちできないくらい。
 だったら、その呪いの霊素エネルギーをどうにか取り出せないかなと思って」

「遥香、あんたね……」