(…いい香りかも…。)

しかし、やはり混雑した揺れる車内のあちこちから、香水や香りの強い柔軟剤と汗の混じった臭いが漂い、ハヤテはゲンナリした。

(オレ…この子のシャンプーの香りだけでいいんだけど…。はぁ、抱きしめたい…。)

朦朧としながらそんな事を思っている自分に気付いたハヤテは、慌ててその思いを打ち消す。

(ナシ!!今のナシだから!!あまりの香りの強さでどうかしてるだけだから!!)

不可解な自分の思考を、苦手な強い香りのせいにして、ハヤテはまた自分を戒めた。

(勘違いだけはするな、オレ!!この子はきっと誰にでもこういう事するんだ!!…多分…。)