Hazy moon night

その夜もハヤテは、自宅で卒業公演で演奏する曲を練習していた。

ひたすらその曲を弾いていたハヤテが、突然手を止め、弾くのをやめてしまった。

そしてしばらくの間、どこか遠い目をして、そこにない何かを見つめた後、誰のものでもない寂しげな旋律を、愛しそうに奏で始めた。


“春になったら…。”


いつかのメグミの寂しげな呟きが、ハヤテの耳に聞こえた気がした。

あの日メグミと見上げた月のように、ハヤテの目に映るすべてがにじんで見えた。




そしてハヤテは、他の誰のためでもなく自分自身のために、ロンドンに行く事を決めた。