あれから、もう

「一年か…」

時間が過ぎるのは早い。

結局あいつがなんでいなくなったのかは分からずじまい。

あの日からちょうど一年の今日。

俺はあの時から1度も来れなかった展望台に来た。

手にはあいつの大好きだった花を、勿忘草を持ち。

「やっと来れたな。」

あいつが消えた場所に立ち花を置き手を合わせた。

あいつがいつも笑顔で語っていた。

大好きな花があると、小さい頃から何かと俺に渡してきた花が。

それが勿忘草だった。

花言葉はなんだったか、もう忘れてしまった。

あいつがいなくなる時、あいつが置いて行った携帯。

響き渡っていた受信音。

それはあいつが自分に送ったものだった。

俺が忘れてはいけない。あいつの最後のメッセージ。

『本当はこんなメール残さない方が良かったのかもだけど、君にはたっくさん伝えたいことがあったの。
いっぱいあるけど、とりあえず1番伝えたいこと。
私の初恋は君でした。そして最後の恋も君でした。
私の最初で最後の恋をありがとう。
またいきなりになっちゃうねww
私がなぜ消えたのかは言いません。君の意地悪へのお返しだよ?
でね、結果はこんなだったけど、私は幸せだったの、君が横にいてくれたから。
まだ伝えたいけどここまで、最後まで意味分からなくてごめん、ありがとう。
私を忘れそうになったら勿忘草を見て?
お願いしたからね!
じゃあ、これで最後。バイバイ。
星真」

長くて長くて、あいつらしい文だった。

意味わからねぇよ、もっとしっかり説明しろよ…

でも、そんなあいつが俺も…。

「あーあ!! 先に言われちまったな…」

俺の上には満点の星空が広がっていた。

「俺も、初恋だったよ。ありがとな」

俺は落ち着いて空を見ながらそういった。

一年も待たせた返事だった。

そして俺はその場を後にした。

勿忘草の花言葉は
【真実の友情】【誠の愛】
そして
「「私を、忘れないで」」