楓くんは艶のある黒髪に、知的そうなメガネ姿で。

左側の目尻に泣きぼくろがあって、笑うとタレ目になるパッチリとした二重。


それに、身体は均等がとれていてスタイルも抜群。


成績も良くて、運動もできて、性格も良くて…。



女の子にモテモテなのに、楓くんの恋話を聞いたことがない。


好きな人がいるって話も聞いたことがない。




「…はぁ」


「…?」




溜息をついた楓くんに首をかしげる。




「とにかく、その告白は断ること」





いい?と、有無を言わせない顔で言ってきた楓くんに首を縦に振る。





「渚は変な奴に目つけられす、」


「楓入るぞー」





楓くんの言葉を遮って、楓くんの部屋に入ってきたのは、




「あ!櫂くん!!」





楓くんのお兄ちゃんの櫂くんだ。




「櫂くん!櫂くん!
聞いて聞いて!!」






楓くんから離れて、ドアの近くに立っている櫂くんの元に近寄る。




「お?
渚がいるじゃねぇか」


「なんかあったの?」





櫂くんの側に寄ると、いつものように頭を撫でられた。