「けど、すんごく可愛いの」
…今なんて？
「だから、アンタになんてあげないし」
そう言ってギュッとキツく抱きしめられる。
「荻原って桂木のこと…」
「好きだけど？」
それが何か問題でも？と、言いたそうな目で福原くんを見る楓くん。
「いや、なんでもない…」
それだけ言ってフラフラとどっかへ歩いっていってしまった福原くん。
「…楓くん」
楓くんの腕をポンポンと叩いて、あたしに意識を向けさせる。
「なに？」
「楓くんってあたしのこと好きだったの？」
「そうだけど」
「いつから？」
「保育園の年長くらいの時から」
「嘘だぁ〜。あたしに冗談なんて通じないからね！」
「嘘じゃないし。こんな時に冗談なんてつく必要性を感じないし」
「だって楓くん、あたしが好きなんて素振り一回もなかったよ」
「それは、恥ずかしいから」
コテンっとあたしと自分のおでこをくっつけた楓くんは、優しそうな瞳であたしを見つめてきた。
