「華ちゃんにとって、大学生活の四年間は長かったかしら、短かったかしら?」
「長かったです。
充実していました。
でも、いつまでたっても未熟者で、店長や園田さんには、たくさんご迷惑をおかけしました」
園田は、一口かじったサンドウィッチの断面からパンチェッタをのぞき込んでいたが、急に名前を出されて目をしばたたかせた。
「は、華さんがシフトに入ってるときは、仕事、しやすかったです。
自分は、その、鈍くさいので。
め、迷惑なんて、逆に、自分のほうが、いつも……」
「いいえ。園田さんには助けていただきました。
きちんとお礼を言えないままでしたけど、園田さんのおかげで、彼氏との関係を清算することができたんです。
あのときは、ありがとうございました」
おやまあ、朴念仁が意外にちゃっかりしてるじゃないの。
美智子はスープカップをテーブルに置き、頬杖をついた。
さあ話しなさいよ、と仕草で示すと、華は頬に微笑を残したまま低い声で説明した。



