Crocus ~花と私と生徒会~



「えっ…」

抱き寄せた瞬間、茜から小さな声が漏れる。

そして、こちらを見ていた女達は一瞬目を見開いて、すぐに顔を伏せてどこかへ行ってしまった。


「あいつらだろ?お前をいじめてんの。…あんな奴ら気にすんじゃねーよ」

ほんの少し、気まずくて、俺は吐き捨てるように言った。


「…守ってくれたんだ」


あー、改めて言われると恥ずかしい。
なんなんだよ、この気持ち。


「…守るって、さっき言っただろ」

肩に置いた手を離して顔を背けながらいう俺に、微笑みながらありがとうと呟く茜。


もしも、この先また茜がいじめられても、俺が守ればいいだけだ。
簡単なことじゃないか。

それで俺らが幸せになれるのなら、もっと早く気づいておけばよかった。

いや、認めておけばよかった。



俺は、茜が好きなんだと。