授業が全て終了し、茜と帰ろうとしたとき
「私、やっぱ辛いよ…」
小さな声が聞こえた。
茜の目には涙が浮かんでいる。
さっきまでの平気そうな顔はやはり演技だったようだ。
俺が近くに来たことに気づいた茜は、そっと抱きついてきた。
「柊は私の味方だよね?私、不安だよぉ…」
茜はまるで消えてしまいそうなほど弱々しかった。
「俺はお前の味方だよ。なにがあっても」
俺は茜の頭を優しく撫でた。
「っふふ」
笑い声?
「茜…?」
「私、やっと好きになって貰えたんだなって思ったら嬉しくなっちゃった」
やっぱり気づかれたか。
そうだ、俺は茜の事好きになってしまった。
「…帰ろう」
俺は誤魔化すかのように教室を出た。
