「ありがとう柊、やっぱり大好き!」
まるでさっきの涙が嘘だったのではないかと思うほどのとびきりの笑顔だ。
立ち直ってくれて、良かった。
「じゃ、帰るか。」
そんな茜を優しい目で見て手を差し出す。
普段はやらない俺の行為に驚きながらも
茜はその手を嬉しそうに握り返した。
「うん!」
茜と帰るのは何回目だろうか?
茜にデートに連れて行かれたのは何回だろうか?
いつの間にか隣に茜がいるのは当たり前で、“本当”の彼女になっていた。
「茜、俺が守るよ」
別れ際に口から溢れ出す言葉。
今はただ茜を安心させてやりたかった。
茜は一瞬目を見開いた後、意地悪な顔で
「当たり前でしょ」と言って帰っていった。
その後ろ姿を確認して俺も自分の帰る道を進み始めた。
