「松永はなんで俺を好きになった?」
ふと聞いてみたくなった。
席が近くなる前なんかは全然接点もなかったし、近くなってもろくな会話はしてなかった。
「えー、なんでって言われてもなー。柊という人間に惚れたから?」
「なんだよ、それ」
松永も「自分でもよくわかんないや」なんて笑った。
「というか、松永ってやめてよ!」
「…は?なんだよ急に」
「あ・か・ね!茜って呼んで!」
付き合ったらこんな所まで変えなきゃならないのか…
やっぱりめんどくさいな。
「はいはい、茜。」
「それでよーし!」
俺が適当に答えたのにも関わらず、茜はとても嬉しそうに笑った。
___ほんの少し茜の笑顔が輝いて見えたような気がした。
「あ、私の家向こうだからここでバイバイ」
「おーじゃあな」
俺がそのまま別れようとした瞬間…
茜は少し背伸びをして、俺の頬に唇をつけた。
