「なあ、松永」
昼休み、珍しく1人の松永に話しかけてみた。
「なーに?」
松永は俺の口からどんな言葉が出るのか楽しみにしているかのようにニコニコしていた。
「お前、彼氏つくんねぇーの?」
…正直、男子達の好意は見え見え。
全員をたぶらかしている松永がいつか女子から嫌われないか不安になる。
「あ、いや、やっぱなんでもねーわ。忘れて」
さすがに余計なおせっかいだったな。
「なに急にー?
彼氏かぁ…柊だったらオッケーだよ!」
ニコニコがニヤニヤに変わる。
たまに見せる意地悪な顔だ。
またか…こいつも俺を困らせるのが相当好きなんだな。
俺はどうしたらいいだろうか。
「はいはい、冗談はよせって」
「だから!本気なんだって…」
最後の方は微かに聞こえるか…ぐらいの声量だった。
目にはだんだんと涙がたまっていく。
こいつ、本当に俺が好きなのか?
もうよくわからなくなってきた。
