「………えっ」
「柊くんの隣だっ!」
______これはほんの数分前だった。
先生がクジを持ってきたので順番に引いていき、その番号のところまで机を持って行った。
俺は運良く5番という窓際の一番後ろをゲットした。
隣が誰であろうと興味はなかったのでまた、机に突っ伏していた。
___しばらくして横から聞こえる机を動かす音の方に目を向けてみると
「わぁ嬉しい!よろしくね!」
俺の方を見て笑う松永がいた。
男子や女子の文句が次々と飛び交う中
なぜか俺らはしばらく目を見合わせたまま止まっていた。
「くっそ!かわれよ柊!」
そんな声が前から聞こえてきてふと我に帰る。
やべぇ、ボーッとしてた…
「あ?別いいけど…」
「だーめ!柊くんのとなりは私だよ!」
俺の言葉とかぶせて松永が返事をする。
「茜ぇ!お前も柊に脈アリかよー」
何でもかんでも恋愛に持ってくんじゃねーよ、だりぃ
本当にこいつらは好きだよなぁ…
というか、お前“も”って何だよ。
今までに俺のこと好きなやつ聞いたことねぇ。
「はぁ…あんまに気にすんなよ松永」
「ふふ、ありがと……」
そういった松永はそのまま俺の耳元に顔を近づけて小さく呟く。
「っはぁ!?」
「おい!イチャイチャすんな!
なんて言いわれた!聞かせろ柊!」
意地悪な顔で微笑む松永と、キレ出す友達の間で俺はただ混乱していた。
