……………え？


笑った？

柊さんが？

私に対して…？



「なんで笑ってるんですか！？」


「……俺だって笑うんだけど。」


いや、ものすごく失礼な質問してるのは承知の上ですよ。


でもね？今まで一度足りとも笑ったことない柊さんだよ？


私の顔をみるなり舌打ちするか目線を合わせなかったのに…



あれ？そうだ……

目線すら合わせたことなかったのに
今日は目を見て話してくれるなぁ。

そう思うとなんか嬉しくなるなぁ。




「…ありがとうございます。」

「何が？」

「助けてくれたことです。」

「別にいいって。偶然だし。」


たとえ偶然だって助けてもらったことには変わりない。



もしあの時柊さんが来てくれなかったら…

考えるだけでも怖くなる。




「なんで…なんでもっと早く言わなかった。」


次に話を切り出したのは柊さんだった。


「迷惑をかけたくなかった……からです。」


「女なんてすぐ頼ってくんだろ？
守って欲しがるんじゃねーのかよ」


まるで自分が経験したかのように、冷え切った目が此方に向けられる。



柊さん……貴方は今誰を見て話してるの？

目の前にいる私は柊さんの瞳には映ってはいないでしょう？