「怪我、してないの」

「へ?」

急に話しかけられ、驚いてしまった。


「向こう刃物だったし、どっか切られたりしてないかって聞いてんだけど?日本語わかんないの?」

「ごっ、ごめんなさい。怪我はないです…」

無意識のうちにそっと足を庇う。
その姿を柊さんは見ていたようで、


「…保健室行くぞ」

「えっ、いや、大丈夫ですっ」

「いーから、黙ってついてきて?」


なんだか、ここで意地はってもしょうがない気がするな…

私はとりあえずついていくことにした。




「先生いないみたいだな、まーいっか」

保健室の中へ入り、椅子に腰を下ろす。



「…ありがとうございました」

私は、おそるおそる柊さんにお礼を言う。

まだイマイチ柊さんとの距離感が掴めていない。

正直なところ、なぜ助けてくれたのがこの人なのか、よくわからない。


「あの、なんで私を助けてくれたんですか…?」

こういうときは本人に聞くのが一番だよね。
この選択が正しいのかはわからないけど、とにかく聞いてみた。


柊さんはため息をつく。

「助けてもらったとかおこがましいよ。偶然通りかかっただけだし、別にあんただからとかそういうんじゃないから」


「え?あ、ごめんなさい…」


やっぱりこの人怖いよおお!!

なんでこんなに冷たいんだろう…
そういえば、これだから女はとか言ってたよね。