そのまま目の前の棚にあったコップに
コーヒー豆を入れお湯を注ぎ会長さんの方に向かう。


コーヒーを入れたり紅茶を入れたりするのは
親の仕事の合間に作ってあげていて慣れている方だった。


「……どうぞ?」


別に頼まれてもいないのに淹れてしまったことに今更気づき

さりげなく机にコーヒーを置く。


会長さんは肘をつきながら私の顔を見る。

会話のないその間が一番怖いよっ!


「おおー!花梨ちゃんよく、つーちゃんがコーヒー派なの知ってたねー!」

「えっと…たまたまだよ?」


本当にたまたまだ!でもよかったぁ!
コーヒー派なのか…覚えておかなきゃね


「あぁ…ありがとな」

会長さんは整った顔で私を見て優しく微笑む。


うわぁ!そんな顔初めて見た…
少しかっこいいかも………


なんてっ!何考えてんの私!

顔をブンブンと振ってそんな考えを振り払う。


「あ…あとそこの花」


会長さんは花瓶の方を指差すと私の目をじっと見た。


「えっと、私が置きました…ダメですかね?」


花だけは許してほしいなぁ…

唯一の楽しみにできそうだし、取られたら悲しいんだけど…


「華やかになるしいいよね?
ね、つーちゃん!」


詩音君が会長さんの腕を持ってブンブンと振り回す。


…いつの間にそこにいたのっ?


「フンッ、まぁいいだろう。
お前がちゃんと世話しろよ」

「はい!勿論です!」

よかったー!花だけは譲れないもんね!