諦めたカンナが前を向くと同時に教室の扉が開かれた。
樫村先生はまたいつものように気怠げな様子で教卓の前に立つと
教室全体を見渡し、私と目を合わす。
その瞬間、一部の女子の
「ほら、色目使ってるー」
「遠くから媚び売ってんじゃねーよ」
と言う声が聞こえたちまち目を伏せた。
駄目だ。早くここから立ち去りたい。
今の教室に私の居場所はなく、来て2日目で私は居場所を失った。
___出席の時間はいつもより長く感じ、ようやく終わったと思えば
「ちょっとあんた、話あるんだけど。」
「な、何ですか…」
「体育館裏、早く来いよ」
クラスの女子……主にケバい集団に呼び出される。
とてつもなく行きたくない。
なんならいっそ帰りたい。
そんな事を思いつつ席を立とうとした。
「ちょ、花梨…あんた本当に行く気なの?
体育館裏なんて古典的な…やめときなよ」
「心配しすぎだよー
平気平気!少し話すだけだからね」
わざと元気なふりをして、カンナに止められて気が変わる前に
私は教室から立ち去った。
