ここまで来てしまった。
なんなら、蓮先輩いて下さい!
そして扉よ、開いてて!
と祈り、扉をぐっと押してみる。
光が差し込む。
「開いてたー!ってことは、蓮先輩いるのかな?」
そんなことを呟きながら屋上に足を踏み入れる。
すると、きゃー!という歓声が耳に入ってきた。
「見て!カッシーが裏庭にいる!!今日もかっこいいぃ!」
「フェロモンがやばいわぁ!」
こんなとこにも女子は群がるのか…
私は樫村先生の人気ぶりに少し感心しつつ、
落ち着けないと判断した屋上を出ることにした、が…
「____そういえば、橘花梨とかいう転入生、カッシーに気に入られようとしてるらしいよ」
…はい?今、確かに私の名前が…
誰が気に入られようとしてるって?
「それに、蓮先輩にも言いよったんだって!ありえなくない?」
言いよる!?
そんなことしてない!!
なんでそんな話が出回っているのかわからない。
なんだか不穏な空気を感じ、背筋が震えた。
とにかく今はカンナと話がしたい。
そう思った。
