お風呂に向かっている途中で、ドタドタと階段を降りてくる音がした。
「おい……花梨…!」
息を切らしながら膝に手をついて私の事を見るお兄ちゃん。
「何急に、どうしたの?」
お兄ちゃんは無言で携帯を私に渡す。
画面を除くと、そこにはメールの文が…
って差出人樫村先生じゃん!何で!?
「お兄ちゃん樫村先生と知り合いなの?」
衝撃の事実に驚いていると、お兄ちゃんはさらに近くに寄ってきた。
「大学の同期だけど……そこじゃなくて本文!読んでみろよ」
えーっと?
“楓の妹ちゃん、生徒会の庶務になっちったー
許してねーん”
楓の妹ちゃん…あぁ私か!
樫村先生ってメールでも緩いなぁ…
「で、これが何か?」
早くお風呂行きたいんだけどなぁ…と
若干苛立ちながらお兄ちゃんを見る。
「そ、そんな睨むなよ!っていうかお前生徒会何て聞いてねぇけど!」
お兄ちゃんは両手で私の肩を掴みぐらぐらと揺らす。
ちょ、本当やめて、酔うから。
「だって言ってないもん。
まず、なんでお兄ちゃんがそんな焦ってんの」
正直お兄ちゃんは関係ないじゃん
「そんなの不安に決まってんだろ!
あんな男だらけのとこに妹を放り込むなんて…楓怖いっ!」
最後の方はウッウッと泣き真似をしながら床に座り込んだ。
そんなお兄ちゃんの横を無言で通り過ぎて
私はさっさとお風呂に入る準備を始めた。
