「何をお探しですかっ?」
中学校の制服の上から着たエプロンを
左右に揺らしながら俺に近づく。
そんな少女と目を合わせないまま
一つの花の名を口にした。
「クロッカス」
少女はニコニコしながらショーケースを開けて花を探していく。
「私、クロッカスが一番好きなんですよ」
幸せそうに微笑みながら振り向いた少女
不意に話しかられた少女の言葉が鼓膜を揺さぶる。
「花言葉は“青春の喜び” なんか素敵ですよね」
「まぁ、“私を裏切らないで”と言う意味もありますけどね」
一方的に少女は俺に語りかけてくる。
でも俺にはそんなことよりも
さっきの言葉が耳について離れない。
この台詞も、微笑み方も、容姿も……
全部あいつにそっくりなんだ。
