「何で?」

何でって言われても...こっちが聞きたいぐらいですよ。


「会長さんが勝手に....」

私がそう言うと、蓮さんは溜め息をついた。


見ず知らずの女がいきなり入ってきたらそりゃ嫌だよね。

なんか申し訳なくなってきたな...被害者私なんだけどね!


「迷惑かけないように頑張ります!
蓮さんは三年生ですよね...?」

蓮さんは、またこくりと頷く。


.....あんま話さない人なのかな?

さっきから口数も少ないし。


「えっと、じゃあ失礼します...?」


「蓮でいいけど....」


そのまま立ち去ろうとした私に不意に声が届く。



あれ?今の蓮さんだよ...ね?

少し可愛かったかもしれない...何て本人には口が裂けても言えないけど。


「いや、でも....あ!じゃあ蓮先輩で!
こっちの方がまだ軽い感じしますよね?」


年上に向って呼び捨てはさすがに抵抗がある。

でも先輩呼びなら、さん付けよりも少し親しい気がするんだけど駄目かな?

確認の意味も込めて蓮先輩の目を見る。


少しいてから蓮先輩は「うん」と軽くほほ笑んでみせた。