ってあれ?何処にもいないよ?

見渡しても人影一つ見当たらない。


「もう!いないんじゃない!」


溜め息を吐きながら力が抜けて地面にしゃがみ込む。

自分の思っていた以上に緊張していたらしい。


「.........誰」

静かな屋上に私以外の声がした。


えぇ!今の声何処からしたの?

見渡しても誰もいなかった筈なのに.....

も、もしかして


「幽霊!? ひぃぃごめんなさい!悪気はないんでしゅ!」

驚きのあまりに舌噛んじゃった...痛い。


「っふ」


笑い声が聞こえたかと思うと、近くでカツカツと音がした。


勇気を振り絞って音の近くまで言ってみる。


「あ....えっと」


そこには梯子から下りてきた背の高いイケメンがいた。

その目は何だか眠そうで髪の毛も少し跳ねている。


「何?」


あぁ!そうだ、忘れてた!

「えっと蓮さんですか?」


目の前の人はこくりと頷いた。

「私、生徒会で庶務をやる事になった橘花梨です!
よろしくお願いします!」

勢い良く頭を下げる。あぁ、緊張した!!


「.......え?」

蓮さんは眠そうにしていた目を見開いた。

.....聞かされてなかったらそうなっちゃうよね。